未払い残業代請求の手順を徹底解説

看護師の仕事は、基本的に患者さんが最優先であり、時間外労働が日常的に行われる傾向にあります。その状況に比例して、きちんと残業代が出ないケースが少なくないようです。未払いの残業代を請求する場合は、残業していたことの証拠集めが不可欠です。確固たる証拠がなければ、病院側にどれだけ訴えても認められない可能性があります。またどれくらい残業をしていたのかによって、請求できる残業代も変わってきます。

客観的な証拠が多数あればあるほど、請求が通る可能性は高まります。タイムカードや勤怠管理システムに、法定労働時間(8時間)を超えた打刻が多く残っていたり、業務日報に残業の記録が残っていたりすると、交渉でこちらが有利になります。ただ、勤務体制によっては、上記にあてはまった場合でも残業代を請求できないケースもあるため、契約内容はよく確認しましょう。主な証拠品としては、タイムカードやパソコンのログイン履歴、乗降車履歴などが挙げられます。

そして証拠が集まったら、病院側に内容証明を郵送しましょう。内容証明を送ると、病院側に残業代の支払いの正式な通達になるだけでなく、残業代の時効を6ヶ月間停止させる効力もあるからです。残業代の時効は原則3年であり、もし病院側が支払いを拒否し、対応が長引けば裁判の準備段階で時効を迎えてしまう可能性も否めません。それを避けるためにも、内容証明を送り、時効を一時的に止めておきましょう。

交渉をしても、病院側がまともに取り合わない場合は、労働基準監督署に報告しましょう。労働基準監督署が指導勧告を行い、立ち入り調査することで、きちんと残業代が支払われる事例は多くあります。労働基準監督署を介しても解決しなかった場合は、裁判で訴訟を起こすしかありません。しかし、いざ裁判となると、費用と時間、相当な労力がかかってしまうため、あくまで最終手段と捉えるのが良いでしょう。
〔関連:看護師の残業代未払いは当たり前?!