看護の仕事は「ハード」だといわれることがよくあります。患者さんの命を預かり、健康を支える誇りある仕事ですが、その裏には多くの苦労があります。ここでは、なぜ看護現場がこれほどまでにハードな職場になっているのかを追求してみました。
その最大の理由の一つが、深刻な人材不足です。多くの病では、看護師の数が圧倒的に足りておらず、一人ひとりの業務量が過剰になってしまっています。本来なら複数のスタッフで分担すべきところが、少人数でこなさなければならない状況になっているのです。これにより、残業が常態化し、十分な休憩時間が取れないといった問題が生じています。人材不足は、業務の質にも影響を及ぼし、常に時間と人手との戦いを強いられているのが現状です。
次に、看護の仕事は、想像以上に体力を使います。患者さんの体位変換や移乗、重い医療機器の運搬など、力仕事が多いのが特徴です。特に夜勤は、昼夜逆転の生活になるため、身体の負担はさらに大きくなります。慢性的な疲労が蓄積し、腰痛や肩こりといった体の不調を訴える看護師も少なくありません。十分な休息が取れないまま、ハードな業務を続けることは、自身の健康を損なうリスクを伴います。
肉体的な疲労だけでなく、精神的な負担も非常に大きいといえます。前提として、医療従事者であるため、「ミスが許されない」というプレッシャーが常にあるものです。それは、慣れるようなものではなく、大きなストレスとなります。そして急性期の現場であれば、患者さんの病気や死に直面する場面が多く、自身もメンタルがブレやすくなるもの。しかし、そこで感情を外には出してはならず、冷静を装い、サポートに入らなければなりません。これは感情労働とも呼ばれ、相当な精神力が求められる在り方です。そのほか、クレーム対応や、患者さんやご家族との人間関係に悩むこともあるでしょう。このように看護師は、肉体と精神の両面で非常に大きなエネルギーを消費しており、ハードな仕事だといわれるのです。